市バス路線の営業成績を表す各種指標を紹介します.
ここに掲載するデータは令和2年度(2020年度)決算のものです.
令和2年度 営業係数ランキング |
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順位 |
系統名 |
営業係数
(2年度) |
営業係数
(元年度) |
1 |
幹藤丘1 |
81 |
63 |
2 |
平針11 |
92 |
74 |
3 |
中村13 |
94 |
79 |
4 |
上社11 |
101 |
81 |
5 |
幹星丘2 |
106 |
87 |
6 |
徳重11 |
107 |
83 |
7 |
原11 |
108 |
92 |
8 |
幹星丘1 |
109 |
87 |
9 |
黒川11 |
110 |
99 |
10 |
金山12 |
111 |
88 |
11 |
名駅11 |
112 |
85 |
12 |
星丘12 |
112 |
91 |
13 |
新瑞12 |
112 |
86 |
14 |
幹本郷1 |
114 |
89 |
15 |
名駅24 |
114 |
88 |
16 |
幹栄1 |
115 |
101 |
17 |
幹神宮1 |
115 |
96 |
18 |
栄24 |
116 |
93 |
19 |
名駅13 |
117 |
94 |
20 |
幹中村1 |
117 |
98 |
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▲幹藤丘1号系統は三冠王をキープするも大幅収支悪化
黒字系統はわずか3系統のみ
黒字系統は, 平成22年度28系統 平成23年度25系統 平成24年度28系統 平成25年度31系統 平成26年度34系統 平成27年度39系統 平成28年度44系統と年々増加していましたが, 以降は, 平成29年度41系統 平成30年度39系統 令和元年度32系統と減少傾向にありました. |
順位 |
系統名 |
営業係数
(2年度) |
営業係数
(元年度) |
144 |
昭和巡回 |
254 |
161 |
145 |
鳴海11 |
257 |
213 |
146 |
名東巡回 |
257 |
160 |
147 |
富田巡回 |
264 |
193 |
148 |
西巡回 |
265 |
161 |
149 |
山田巡回 |
296 |
189 |
150 |
緑巡回 |
300 |
194 |
151 |
守山11 |
301 |
253 |
152 |
港巡回 |
306 |
169 |
153 |
深夜2 |
310 |
219 |
154 |
瑞穂巡回 |
314 |
198 |
155 |
南陽巡回 |
321 |
305 |
156 |
春田11 |
323 |
312 |
157 |
守山巡回 |
328 |
213 |
158 |
中川巡回 |
329 |
210 |
159 |
東巡回 |
356 |
241 |
160 |
熱田巡回 |
385 |
252 |
161 |
中村巡回 |
387 |
238 |
162 |
志段味巡回 |
445 |
316 |
163 |
中巡回 |
492 |
314 |
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▲地域巡回系統は,区役所や病院を結んで走る生活路線のため,路線長が長く乗車効率が悪く,営業係数も悪い
コロナ禍により,市バス全系統において営業係数が悪化しました.
(全系統)R1年度112.7→R2年度142.6
定期券利用の多い系統より,非定期券利用の多い系統の方が,外出控えの影響を受けて大きく悪化しました.
特に地域巡回系統は軒並み大幅に悪化しました.
(地域巡回系統)R1年度175.3→R2年度278.2 |
令和2年度 営業収支ランキング |
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◆営業収支 |
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営業収入と営業費用の差.つまり黒字と赤字の絶対額です.
100未満は黒字,超えると赤字です.
営業係数(効率性)が良く運行本数も多い系統は,黒字額も大きくなります.
しかし営業係数が下位でなくても運行本数の多い系統は,赤字額が大きくなってしまいます.
令和2年度は,コロナ禍により,1日あたりの乗車人員は前年34万8,233人から84,581人減の26万3,652人となりました.
営業収支は年間で70.9億円の赤字です.(対前年比43.9億円悪化). |
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◆営業収支一覧表 |
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公式サイトなし 当ウェブサイトまとめ[PDF] |
順位 |
系統名 |
営業収支 (百万円) |
営業係数
(2年度) |
1 |
幹藤丘1 |
47 |
81 |
2 |
平針11 |
17 |
92 |
3 |
中村13 |
5 |
94 |
4 |
深夜2 |
△1 |
310 |
5 |
深夜1 |
△1 |
240 |
6 |
上社11 |
△2 |
101 |
7 |
徳重11 |
△4 |
107 |
8 |
名駅24 |
△4 |
114 |
9 |
原11 |
△6 |
108 |
10 |
黒川14 |
△9 |
202 |
11 |
栄26 |
△10 |
193 |
12 |
幹星丘2 |
△11 |
106 |
13 |
星丘12 |
△12 |
112 |
14 |
名駅11 |
△13 |
112 |
15 |
鳴子15 |
△14 |
129 |
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▲地下鉄東山線東部地区の幹線系統
幹藤丘1号系統は,毎年黒字1億円を稼いでいましたが,コロナ禍で半額以下に.
黒字3千万円以上の系統数は,
平成28年度18系統
平成29年度13系統
平成30年度10系統
令和元年度8系統
令和2年度1系統と減少しました.
令和2年度の営業収支ランクでは,深夜系統等の営業係数200台以上だが,運行本数が少なく赤字幅を抑えることができた系統が上位ランクインしました.
コロナ禍では,バスを走らせれば走らすほど赤字額が雪だるま式に増えていく厳しい現実が明らかに. |
順位 |
系統名 |
営業収支 (百万円) |
営業係数
(2年度) |
154 |
金山19 |
△86 |
161 |
155 |
栄13 |
△87 |
198 |
156 |
栄20 |
△90 |
188 |
157 |
基幹1 |
△96 |
120 |
158 |
東海12 |
△99 |
141 |
159 |
幹名駅1 |
△102 |
149 |
160 |
ガイド |
△118 |
145 |
161 |
栄18 |
△123 |
242 |
162 |
栄11 |
△129 |
151 |
163 |
基幹2 |
△165 |
117 |
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▲最下位は基幹2号系統 約1億6472万円の大赤字
利用者が激減したものの,通常通りのダイヤで運行した市バスは,運行本数の多い路線ほど赤字額が多くなりました. |
令和2年度 運転キロあたりの乗車人員ランキング |
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◆運転キロあたりの乗車人員(人) |
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運転キロ(1km)あたりの乗客数です. 数値が大きいほど乗車密度が高く,運行効率が良いと言えます. |
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◆運転キロあたりの乗車人員(人)一覧表 |
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公式サイトなし 当ウェブサイトまとめ[PDF] |
順位 |
系統名 |
運転キロあた
りの乗車人員 |
営業係数
(2年度) |
1 |
幹藤丘1 |
6.63 |
81 |
2 |
平針11 |
5.21 |
92 |
3 |
中村13 |
4.97 |
94 |
4 |
幹星丘2 |
4.74 |
106 |
5 |
上社11 |
4.47 |
101 |
6 |
幹星丘1 |
4.36 |
109 |
7 |
徳重11 |
4.26 |
107 |
8 |
原11 |
4.22 |
108 |
9 |
金山12 |
4.05 |
111 |
10 |
栄24 |
4.01 |
116 |
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▲経営収支に大きく影響する運行効率 運行効率の良い路線は経営効率も良い
超優良路線の幹藤丘1系統は三冠王を達成
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順位 |
系統名 |
運転キロあた りの乗車人員 |
営業係数
(2年度) |
154 |
中村巡回 |
0.97 |
387 |
155 |
熱田巡回 |
0.93 |
385 |
156 |
鳴海11 |
0.91 |
257 |
157 |
中巡回 |
0.89 |
492 |
158 |
南陽巡回 |
0.75 |
321 |
159 |
志段味巡回 |
0.70 |
445 |
160 |
守山11 |
0.58 |
301 |
161 |
春田11 |
0.47 |
323 |
162 |
深夜1 |
0.44 |
240 |
163 |
深夜2 |
0.39 |
310 |
|
コロナ禍では全系統で乗車人員が減少しました.
特に観光系統(C-758)と深夜バスは42%〜58%に減少しました.
地域巡回系統も60%〜70%台に減少しました. |
その他指標 |
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その他,営業成績を表す指標として,「運行1回あたりの乗車人員」と「あと何人乗車すると黒字になるか」が公表されています.
これらはバス車内にてご確認ください.
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▲令和元年度決算 大森営業所の例
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市バス収支のまめ知識 |
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営業係数とは,100円の営業収入を得るのに要した営業費用を表した数字で,鉄道路線やバス路線の経営状態を表す指標として使われています.
100を下回れば黒字路線で,上回れば赤字路線と判断できます.
一方,収支額は営業収入と営業費用の差で,+であれば黒字,−なら赤字です.
営業係数はあくまでも収入と費用の比であって,赤字や黒字の絶対額の大小を表す収支額と一致しません.
市バスは民間バス会社の経営と違い,民間が撤退するような赤字路線であっても,地域住民にとって必要な路線と認められれば公共の福祉の観点から運行を継続する必要があります.
これをサポートするため,市の一般会計(税収入)から市バス会計(運賃収入)へ補助金を支出する公費負担ルールが平成17年から適用されています.
他都市のコミュニティバスに該当する地域巡回系統(当時22路線:全路線赤字)では,その償却前経常収支額の全額を補助金として一般会計から受けています.平成20年度は5億5300万円で,1系統当たり約2500万円の公的負担でした.
また,その他の赤字一般路線(当時109路線)では,償却前経常収支不足額の1/2を補助金として一般会計から受けています.平成20年度は22億2600万円で,1系統当たり約1800万円の公的負担がありました.
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