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市営バス(名古屋市の自動車運送事業)の決算概要を紹介します.
ここに掲載するデータは令和6年度決算のものです.
市バス(一般乗合自動車) 乗車人員の推移 |
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決算年度ごとの,運転キロ(年間業務量)の推移です.
平成21年10月のゆとりーとライン運行体制変更(民間2社撤退)に伴い業務量が大幅増加しました.
一転して平成23年度には,地下鉄徳重延伸に伴い大幅減少しています.
平成27年度から令和元年度までは毎年微増でしたが,
コロナ禍による利用者大幅減を受け,業務量も減少傾向にあります.
(R4→R5は増加しているように見えますが,うるう年によるものであり,1日あたりは微減です.)
決算年度ごとの,乗車人員の推移です.
乗車人員は,平成17年度から令和元年度まで(リーマンショック等の一時的な景気の落ち込みの影響はあったものの)定期券利用者を中心に増加傾向にあり,平成30年度には12,840万人/年を記録しました.
令和2年度は,コロナ禍により9,601万人/年(前年比24.4%減)まで減少しました.
券種別に見ると,定期券利用者は18.3%減,定期券以外利用者は28.2%減となっています.
それ以降現在まで,毎年度増加しているものの,コロナ禍前の令和元年度以前の水準には回復していません.
決算 年度 |
運転キロ (千km/年) |
一般乗合 乗車人員(万人/年) |
| 全体 |
定期券 |
定期券以外 |
| 平成14 |
41,058 |
|
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| 平成15 |
39,078 |
|
2,485 |
12,902 |
| 平成16 |
36,134 |
11,608 |
2,364 |
9,244 |
| 平成17 |
36,296 |
10,986 |
2,473 |
8,512 |
| 平成18 |
36,043 |
11,056 |
2,874 |
8,181 |
| 平成19 |
36,177 |
11,333 |
3,126 |
8,206 |
| 平成20 |
36,024 |
11,567 |
3,353 |
8,213 |
| 平成21 |
36,438 |
11,463 |
3,452 |
8,011 |
| 平成22 |
36,855 |
11,624 |
3,568 |
8,056 |
| 平成23 |
35,887 |
11,284 |
3,675 |
7,608 |
| 平成24 |
35,783 |
11,473 |
3,842 |
7,631 |
| 平成25 |
35,787 |
11,756 |
4,041 |
7,718 |
| 平成26 |
35,651 |
11,911 |
4,144 |
7,767 |
| 平成27 |
36,037 |
12,259 |
4,324 |
7,935 |
| 平成28 |
36,063 |
12,389 |
4,438 |
7,951 |
| 平成29 |
36,149 |
12,584 |
4,560 |
8,024 |
| 平成30 |
36,209 |
12,840 |
4,665 |
8,174 |
| 令和元 |
36,272 |
12,712 |
4,733 |
7,979 |
| 令和2 |
36,172 |
9,601 |
3,868 |
5,732 |
| 令和3 |
36,106 |
10,187 |
4,055 |
6,132 |
| 令和4 |
35,868 |
10,786 |
4,156 |
6,630 |
| 令和5 |
35,904 |
11,066 |
4,367 |
6,699 |
| 令和6 |
35,709 |
11,376 |
4,555 |
6,821 |
次表は,コロナ禍前の令和元年度と令和6年度の1日あたり乗車人員を比較したものです.
有料乗車人員(定期券+定期外)は95%まで戻ってきましたが,敬老パス乗車人員は72%と低迷したままです.
| 乗車人員/日 |
R1年度 |
R6年度 |
R6/R1 |
| 定 期 |
129,334人 |
124,789人 |
96% |
| 定期外 |
100,741人 |
94,172人 |
93% |
| 敬 老 |
93,580人 |
67,549人 |
72% |
| 福 祉 |
23,690人 |
24,156人 |
102% |
| 貸 切 |
888人 |
1,000人 |
113% |
| 合 計 |
348,233人 |
311,666人 |
89% |
市バス経営成績 損益の状況 |
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決算年度ごとの,営業損益の推移です.
決算年度ごとの,経常損益の推移です.
平成16年度までの莫大な赤字垂れ流し状態から脱却し,平成18年度から令和元年度まで黒字経営に転換しました.
しかしながらコロナ禍により利用者は大幅に減少したものの,現行輸送量を維持するという経営判断を行ったため,令和2年度から令和5年度まで再び赤字経営が続いていました.
令和6年度決算では,地下鉄会計から市バス会計への内部補助を増額したことにより,5年ぶりの黒字経営となりました.
収入面では,乗車人員増加に伴い運輸収益が約5.2億円増加しました.
運輸雑収は,比較的余裕のある地下鉄会計からどうしようもない市バス会計への内部補助を増額したことにより,約15億円増加しました.(市バス会計の粉飾決算では?)
営業外収益は,一般会計補助金の増額により,約8億円増加しました.
このように運輸収益以外の収入を増やした結果,事業収益は約280億円(対前年比30億円増)となりました.
支出面では,人件費が約6.8億円増加,燃料費等経費が約5.3億円増加,減価償却費も約5.1億円増加しました.これら営業費用は約270億円(対前年比17億円増)となりました.
営業外費用及び特別損失を加えた事業支出は約279億円(対前年比23億円増)となりました.
この結果,営業損益は約65億円の赤字(対前年比3億円改善),経常損益は昨年度の約6.0億円赤字から約4.5億円黒字に転換(対前年比10.5億円改善),特別損益を加えた純損益も昨年度の約6.0億円赤字から約0.5億円黒字に転換(対前年比6.5億円改善)の増収増益となり,5年ぶりの黒字化を果たしました.
参考 過去の市バス決算値 |
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過年度のデータを掲載しています.
収入面では,乗車人員増加に伴い運輸収益が約4.8億円増加しました.
営業外収益は,一般会計補助金の増額により、約3.2億円増加しました.
その結果,事業収益は約250億円(対前年比8.0億円増)となりました.
支出面では,人件費が約1.3億円増加,車両更新数増加により減価償却費も約4.2億円増加しました.燃料費等経費はほぼ横ばいでした.これら営業費用は約253億円(対前年比5.4億円増)となりました.
営業外費用を加えた事業支出は約256億円(対前年比5.1億円増)となりました.
この結果,営業損益は約68億円の赤字(対前年比0.6億円悪化),経常損益は約6.0億円の赤字(対前年比2.8億円改善),特別損益は無しのため純損益も約6.0億円の赤字(対前年比2.8億円改善)の増収増益となりましたが,4年連続の赤字です.
【参考資料】 一部データは名古屋市監査事務局の「公営企業決算審査意見書」を参照しているため,交通局発表数値とは異なる場合があります.
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