他社や他都市ではお目にかかれない,名古屋市交通局オリジナルの仕様・装備品をクローズアップします.
※当ページで取り上げる仕様は代表的な車種のものを取り上げています.車両によっては,あてはまらない事例もあります.
平成28年〜「標準ノンステップバス(2015)認定」車両 |
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平成27年の標準仕様ノンステップバス認定制度の一部改定(2015年ver.)により,一部仕様が変更となりました.
改定後の基準に準拠した平成27年度以降の購入車両(平成28年式以降)の変更点について紹介します.
【バッテリーリレースイッチ】
「バッテリーリレースイッチ(メインスイッチ)」について,引き続き車外にも増設していますが,設置場所が車体側面(前扉後方)からフロントバンパー内に変更されました.
【方向幕(行先表示器)】
側面方向幕の設置位置が,前乗り方式or中乗り方式に関わらず,前扉〜中扉の中間位置に統一されました.

▲前扉後ろのメインSW蓋なし LED式方向幕(側面)を前扉〜中扉の中間位置に |
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【座席配置】
扉配置は前中扉で,前扉は折戸,中扉は引戸です.
座席配置は都市型仕様で,前扉〜中扉間のノンステエリアは優先席含め一人掛け前向きシートで,燃料タンクのある左前タイヤハウス上の席はありません.
中扉以降は二人掛けシートのが採用されています.
【室内灯】
室内灯は2列ラインライトで,LED灯です.

▲車内座席配置・内装 |
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【停留所名表示器】
平成29年度からは,停留所名表示器が液晶化されました. 基本は前部に1箇所設置です.
平成16年〜平成27年「標準ノンステップバス認定」車両 |
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平成16年1月より,仕様の標準化によるノンステップバスの製造コスト低減と安全性・利便性の向上を目指した「標準仕様ノンステップバスの認定制度」が始まりました.
名古屋市においても,平成16年度以降の購入車両は,認定制度に基づいたものが導入されています.
標準化により,日本全国どこへ行っても同じような仕様のバス車両しか見られなくなり,バスファンとしては寂しいところですが,よーく観察すると,若干ではありますが事業者によって細かな違いが残っています.
ここでは,名古屋市営の特徴的な車両仕様や,車内装備品を紹介します.
【ミラー】
外観上の最大の特徴は,車両前面左右に取り付けられた,黒色の「電動式大型ミラー」です.大東プレス製の高速車両向け「ハイウェイミラー」が採用されています.
運転席で角度調整できるので現場乗務交代時には効果的ですが,電柱等に少しでも当たると壊れてしまい運行停止せざるを得ないというデメリットもあります.
また,アンダーミラーは左右両方に,サイドアンダーミラーは左側のみ取付です.

▲黒く目立つ電動大型ミラー+アンダーミラー |

▲反射シールを貼った車両も多い |
【事業者記章】
交通局の前身,名古屋市電気局発足にあたり大正11年に制定された記章を現在でも使用しています.
名古屋市のマーク丸八を稲妻で囲った菱形の金色に輝くプレートを,車両前面に取り付けています.
(路線ロゴステッカーを掲出するC-758系統都心ループ専用車にはありません.)

▲交通局章 |
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【バッテリーリレースイッチ】
通常は運転台右下に設置されている「バッテリーリレースイッチ(メインスイッチ)」を,車外にも増設しています.
乗務員が乗降時に操作しやすいよう,車外前扉後方にあります.

▲車外前扉後方に増設されたメインSWの蓋 |
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【ベンチレータ】
屋根上装備品では,車両前方に設置された角形ベンチレータ(通風口)とバスロケアンテナが目を引きます.
前方の角形ベンチレータは「吸排気装置」,後方の丸形ベンチレータは「天井換気扇」と役割が異なります.
【新旧バスロケアンテナ・無線アンテナ】
屋根上の最前方にある黒い小さな固まりが,平成26年3月より運用を開始した新バスロケ用アンテナです.
本庁や営業所からのデータ受信の他,通話機能もあります.
一部の新車以外は使用停止したアンテナが残っています.
正面向かって左側にMCA無線アンテナ,右側にIRアンテナがあります.

▲屋根上のベンチレータ&アンテナ類 |

▲新旧アンテナ類 |
【方向幕(行先表示器)】
方向幕は平成15年秋よりLED式が採用されています.
市バス車両では,この地方では多数派のレシップ製のものを搭載しています.
側面方向幕は前扉横に設置されていますが,中乗り式の基幹2系統専用車のみ前扉〜中扉の中間に設置されています.
※交通局では行先表示器のことを幕式,LED式に関わらず「方向幕」と呼称しています.
【前照灯(ヘッドライト)】
平成29年度よりヘッドライトのLED化が行われています. 4灯式車両はロービーム灯のみがLED化の対象です.
【デイランプ】
昼間時の事故防止のため,平成21年より前面バンパー付近にLED式の昼間点灯装置が装着されました.

▲LECIP製LED式方向幕(前面)とデイランプ |

▲LED式方向幕(側面) 上:前乗り車両/下:中乗り車両(基幹2系統) |
【乗車中表示灯・車外名札】
かつて特徴的な配置をしていた尾灯類は,現在は標準仕様での導入となっています.
その他車体後部の装備品として,乗車中表示灯と,平成24年冬から始まった車外名札があります.

▲市バスのお尻 「乗降中」LED点灯 |

▲車外の乗務員名札 |
【車外照射灯】
中扉上に,中扉開閉時に点灯する車外照射灯が設置されています.
従来は蛍光灯(黒色もしくは車体色カバー付き)でしたが,平成26年夏より平成16年式以降のCNG車以外の車両については白色LED(ゴールドキング製:白色カバー付き)に更新されました.
新しいLED車外照射灯は取付位置の地色に関係なく白色カバーのため,目立ちます.
平成26年12月式以降は納入当初からLED仕様のため,外観上は黒色カバーに戻っています.

▲旧タイプ(蛍光灯)と平成26年式以降(LED)のカバーは車体色 |

▲平成16年式〜平成25年式(CNG車除く)はLED(白色カバー)に更新された |
【路肩灯】
中扉の後ろ,後部タイヤハウス前に路肩灯が設置されています.
従来は電球式(車体色カバー付き)でしたが,平成26年9月より平成16年式以降のCNG車以外の車両についてはLED式(レシップ製:白色カバー付き)に更新されました.
新しいLED路肩灯は白色カバーのため,同じく白色の車外照射灯と合わせ目立ちます.
平成26年12月式以降は納入当初からLED仕様のため,外観上は車体色(青色)カバーに戻っています.

▲旧タイプ(電球)と平成26年式以降(LED)の路肩灯カバーは車体色 |

▲平成16年式〜平成25年式(CNG車除く)は電球からLEDに更新され,カバーが白色に |
【座席配置】
平成13年より全車ノンステップバスでの導入となっています.
扉配置は前中扉で,前扉はグライドスライドドア,中扉は引戸です.
座席配置は,前扉〜中扉間は一人掛け前向きシートと,燃料タンク上は横向きシートの組み合わせ.
中扉以降は二人掛けシートの都市型仕様が採用されています.

▲標準ノンステ仕様の車内(都市型) |
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【室内灯】
室内灯は千鳥配置で,大型車は6〜7灯が,中型車は5〜6灯が設置されています.
従来は蛍光灯が使用されていましたが,平成26年夏より平成16年式以降のCNG車以外の車両はLED(ゴールドキング製)に交換されました.
グローブは従来品を再利用しているため,更新後も見た目はほぼ同じですが,よく見るとLED球の点々が見えます.
平成26年12月式以降の車両は新製時からLED室内灯を採用しました.直管タイプのものが使用されており,LED球の点々は見えません.

▲蛍光灯を使用した従来からの室内灯 |

▲LED改造された室内灯 |
【降車ボタンと案内シール】
降車ボタンは黄色枠で橙ボタンのオージー製WS-260SやWS-260SGが採用されています.
壁設置の降車ボタン付近には銀色の「お降りの方は、このボタンを押してください。」,一部「急停車することがありますからご注意願います」シールが貼られています.

▲オージー製降車ボタン+注意喚起シール (WS-260シリーズ) |
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【運転席背後の広告枠・系統図枠】
運転席背後は,広告枠,系統図枠,ポリカーボネート板によって客席と仕切られています.
このうち,B3サイズの広告枠と,変則サイズの系統図枠の組み合わせが特徴的です.
平成20年式までは系統図枠が上に,平成21年式からは逆転して広告枠が上に取り付けられています.

▲上:系統図/下:広告(画像はH12年式) |

▲上:広告/下:系統図(画像はH24年式) |
【乗降確認センサー】
各停留所での乗降者数をカウントするためのセンターが,前後扉に装着されています.
【停留所名表示器】
停留所名表示器は,均一料金のため次停留所名のみ表示させる一段LED式が平成3年から採用されています.
レゾナント製で時計付きです.前扉上部に1台設置されています.
都心ループ専用車は平成29年3月から,その他新車両は平成29年度から液晶モニタに変更されています.
液晶モニタは前扉上部に27インチが1台,中扉後部にも22インチが1台の計2台が設置されています.

▲LED式停留所名表示器 |
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【運行支援システム・液晶モニタ・音声合成放送装置】
多発する運行ミス防止のため,平成27年度に運行支援システムが新規導入されました.
これに伴い,古いタイプの液晶モニタと音声合成放送装置の機種更新が行われました.
(改造前の機器類は,下段「廃止された機器」の液晶モニター・系統設定リモコンの項目をご覧下さい.)
運転士用液晶モニターは,バックモニタ兼用のタッチパネル式カラー液晶のレゾナント製TFD-8000で,一部車両を除き運転席右側に設置されています.平成29年3月に補助放送機能が追加され,現在はテンキーに文字が追記されています.
タッチパネル化に伴い系統設定リモコンは廃止撤去されました.
音声合成放送装置はレゾナント製FC-7000Bで,運転席頭上に設置されています.
これら機器にインストールされたのが運行支援システムで,次の3つの機能があります.
(1)ダイヤ一括登録機能
運行時にダイヤ呼出番号を一度入力する事で,スタッフダイヤ板に表示されている路線を一括で登録する.
→登録間違いによる運行路線間違い,方向幕掲出間違いを防止.
(2)遅早発防止機能(電子スタッフ機能)
画面に停留所時刻と現在時刻との差を色で表示.早発警告ブザーや始発停注意喚起放送あり.
→遅早発を防止.
(3)進路指示機能(ナビ機能)
登録地点で進路指示や注意警告を表示と音声で行う.
→経路誤り,事故を防止.
画面映り込み防止のため,令和2年秋にモニター周りのフードが大型化改造されました.

▲下の黒い箱が音声合成放送装置 (上の黒い箱はデジタコ) |

▲原則として運転台右側に液晶モニタを配置 タッチパネル式で別リモコン無し (モニタ周りフード改修前) |

▲運行支援システム画面(電子スタッフ機能) 停留所名と現在時刻と発車時刻の差を表示する (モニタ周りフード改修前) |

▲運行支援システム画面(ナビ機能) 登録地点で進路指示を表示する (モニタ周りフード改修前) |
【運転席右側操作盤】 運転士が右手で操作するパネルの中で,特徴的な機器を2つ紹介します.
扉開閉レバー:一般的な前後操作式ではなく,左右操作式となっています.名鉄バスも左右操作です.
操作器:案内放送を送ったり,マイク操作を行う機器です.

▲運転席右側操作盤の様子 |
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【運賃箱】
運賃箱は,以前は小田原機器製RX-FA2形を使用していましたが,ICカード導入に伴いレシップ製LF-B形に交換されました.
料金先払いタイプと後払いタイプ(基幹2系統)の2種類あり,カードリーダーの向きやカード挿入口等に違いがあります.

▲レシップ製運賃箱(一般タイプ:先払い) |

▲(基幹2タイプ:後払い) |
【スタッフダイヤ板差し】
かつて,その日の乗務行路を全て記載した行路表(スタッフダイヤ板)1枚のみを差していたため,大型のダイヤ板差しが用意されています.
全停留所のダイヤを掲載するようになった現在でも,大きさはそのままです.
当初は運転士から離れた位置に設置されていましたが,平成22年からは運転士寄りに設置箇所が変更されています.

▲左端に設置されたダイヤ表差し |

▲H22から運転士寄りに移設 |
【バスロケ・無線システム】
平成26年3月に更新されました新しいシステムです.
運転席背後にスピーカーとマイク,文字メッセージを表示するモニター装置が取り付けられています.
ダイヤ表差しの近くには,メッセージ受信状況を示すランプが設置されています.

▲運転席背後の新旧バスロケ&無線機器 (上:旧システム/下:現システム) |

▲増設されたバスロケ受信状況ランプ |
【車内ミラー】
ただでさえ多い車内ミラーですが,市バス独自の安全対策でミラーが増設されています.
メインのバックミラー横に,平成23年新車から補助曲線ミラーが追加され,旧車も追加装備しました.
また,運転士右上に設置された縦長の補助ミラーは,古くから採用されている歴史ある装備品の一つです.
このようにして,車内の死角を少なくすることで,車内事故防止に取り組んでいます.

▲バックミラー横の補助曲線ミラー |

▲昔からある運転士右上の補助ミラー |
【車両番号銘板・事業者銘板】
プレートやシールなどで,前面方向幕蓋に掲出されています.
基幹系統車は茶色,一般系統車は青色です.

▲車両番号・事業者銘板 |
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平成27年度の運行支援システム導入以前に採用されていた機器を紹介します.
【旧液晶モニター・系統設定リモコン】
市バスでは,系統設定は一般的なテンキーではなく,液晶モニターを使用しています.
平成16年からはパナソニック製7インチワイドカラー液晶モニターを採用していました.
この画面を見ながら,系統設定リモコンで操作します.
平成19年式からはモニターの機種が変更となりました.
そして平成21年式からはレゾナント製のタッチパネル式の新モニターとなり,リモコンが廃止されています.
なお,これらはバックモニターと連動しています.

▲H16〜初代液晶モニター(画像はモニタ左設置) |

▲系統操作リモコン |

▲H19〜二台目液晶モニターとリモコン |

▲H21〜タッチパネル化(リモコン廃止) |
平成10年〜 コスト縮減(グレードダウン車) |
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平成10年式以降の名市交仕様から標準仕様への過渡期については,各車両の紹介ページをご覧下さい.
平成3年〜 通称「グレードアップ車」 |
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かつての公営交通のバス車両は,違うメーカーの車両でも独自の仕様を多数盛り込み,できるだけ操作性や部品を統一する傾向にありました.名古屋市も同様で,平成9年ごろまでは「名市交仕様」と呼ばれる独特の装備を多数備えていました.
特に平成3年後期に導入された車両は「グレードアップ車」と呼ばれ,メトロ窓や横引きカーテン,ハイバックシートなど,高級感ある装備が特徴でした.
【側面窓枠】
【尾灯配置】
【冷房装置・ベンチレータ】
【座席配置・座席形状】
【カーテン】
【室内灯】
【案内表示器】
【運転席周辺機器】
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