名古屋市の乗合バス事業は,基幹バスから一般路線,観光路線まで163の路線があり,市内12箇所の営業所に千両超の車両が配置されています.
当ページでは,令和7年2月現在,在籍している1,014両の車両について解説します.
※最新データへの更新は,予定されている新車導入・廃車が全て終わった後に行います.
在籍車両の用途・車種別分類 |
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用途別に分類すると基幹系統用,一般系統用,都心ループ系統用の3種類あります.
車種別では大型車(長さ約11m),中型車(長さ約9m),小型車(長さ約7m)が在籍しています.
▼大型車<69両>
一部停留所通過など速達サービスを提供する「基幹1号系統」東郊通線と,名鉄バスと施設を共同使用するため中乗り後払い方式を採用する「基幹2号系統」出来町線に専属する車両は,一般系統と区別するため茶系の基幹バス専用色となっています.
車内装備は基幹車と一般車で大きな違いはありません.
基幹2号系統用の車両は,一般車とは異なる中乗り方式のため,一般車とは車両流用ができず,予備車も含め専用車のみで運用されており,現在は50両が在籍しています.
基幹1号系統用の車両は,一般車と同じ前乗り方式であり,一般車を基幹バスとして運用することも可能なため,予備車や増備車を一般車とするなど車両の共通化を進めていることもあり,現在は19両※が在籍しています.
※基幹1号系統用の予備車を除いた車両数

▲基幹1号系統専用車(前乗り) |

▲基幹2号系統専用車(中乗り) |
▼大型車<750両> (全長約11m×全幅約2.5m×全高約3m)(定員約78名)
市内のあちこちで見かける青白塗装の交通局主力車両群です.
かつては降車時の効率を高めた3扉ツーステップ車(平成26年12月引退)を多数導入するなど特徴的な車両も多くありましたが,現在はメーカー標準仕様で導入されています.
以前は標準尺,現在は短尺のノンステップ都市型仕様が主で,ワンステップ車両や中型車幅の車両はありません.
国内全4メーカーの車両が在籍しています.
ほぼ毎年継続的に導入されており,年代によって細かな仕様が違うなど,様々なバリエーションがあり興味が尽きません.
▼中型車<182両> (全長約9m×全幅約2.3m×全高約3m)(定員約58名)
かつては,ほぼ大型車で運用されていましたが,コスト縮減等を目的として,平成10年より中型車の導入が始まりました.
現在では市バス全車両のうち中型車が19%を占めています.
主に需要の少ない路線で活躍しています.
▼小型車<0両> (全長約7m×全幅約2.3m×全高約3m)(定員約37名)
平成10年より行われた車両の小型化の一環で,最大で48両保有していましたが,小型車の市販車種が限られていることもあり,更新時に中型車両に置き換えられました(令和2年度末で全て廃車).
主に地域巡回系統で活躍しました.

▲主力の大型ノンステップバス |

▲中型ノンステップバス |

▲小型ノンステップバス(現存なし) |
まるはち交通センター
www.maruhachi-kotsu.com |
▼中型車<13両>
名古屋の中心繁華街を走る「C-758系統(都心ループ)」は,一般系統よりも停留所間隔が短いこともあり,差別化を図るため,専用塗装の専用車が用意されています.
交通量の多い中心市街地を縫って走るため中・小型車にて運用されており,かつては小型ワンステップ車が,平成22年以降は中型ノンステップ車が導入されています.
▼小型車<0両>
初代都心ループ専用車としてふそうワンステップ車が在籍していましたが,全て廃車となっています.

▲中型ノンステップバス |
まるはち交通センター
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市バス車両のうち,約91%が青白塗装の一般系統用車両となっています. また,約80%の車両が大型車両です.
Bus
Car Data 1

図1 用途別在籍車両割合 図2 車種別在籍車両割合
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在籍車両のメーカー別分類 |
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交通局の新車調達方法は,かつては随意契約で行われていました.
公営企業ということもあり,国内主要4社からバランスよく分散購入し,保守がしやすいよう車庫ごとに特定のメーカーを配置していました.
概ね日野35%:ふそう25%:いすゞ25%:日デ15%の割合でした.
現在ではその慣習はなくなり,原則として一般競争入札による調達方法に改められました.
車種ごとに一括して調達をかけるため,毎年特定の車種が大量に購入され,全車庫に分散配置されています.
これにより各メーカーの勢力図も大きく変わってきています.
(表は令和7年2月現在)
メーカー名
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現在の車両数
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現在の割合
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平成14年時点の割合
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いすゞ自動車 |
519両 |
51.2% |
← 24% |
日野自動車 |
167両 |
16.5% |
← 33% |
三菱ふそうトラック・バス |
328両 |
32.3% |
← 25% |
UDトラックス(旧:日産ディーゼル工業) |
0両 |
0.0% |
← 18% |
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計1,014両 |
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随意契約時代から平成21年度まで,長期に渡り日野自動車が首位をキープし続けてきましたが,平成21年度はいすゞ自動車が首位に躍り出ました.
平成22年度は再び日野自動車が最多となりましたが,平成23年度からはいすゞ自動車の独走状態です. 平成30年度には,ついに,いすゞ車のシェアが50%を超えました.
このまま市バスはいすゞ車で統一されていくのか・・・と思いきや,令和4年度は三菱ふそうが14年ぶりに受注し,3年度連続で受注しています.
これにより日野自動車が3位転落,三菱ふそうが2位に浮上しました.
今後もいすゞ王国の堅持なるか,引き続きふそうの逆襲が続くのか,今後の受注合戦に目が離せません.
なお,UDトラックスは新車導入されておらず,令和5年度に絶滅しました.
(表は令和7年2月現在)
シャーシメーカー
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メーカー系列
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車両数
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割合
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メーカー
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車両数
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日野→ |
日野系列
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167両 |
17% |
日野車体工業
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0両 |
ジェイバス
|
167両 |
いすゞ→ |
いすゞ系列
|
519両 |
51% |
519両 |
いすゞバス製造
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0両 |
富士重
|
0両 |
0% |
富士重工業
|
0両 |
UD→ |
0両 |
西工
|
0両 |
0% |
西日本車体工業
|
0両 |
三菱ふそう→ |
三菱ふそう系列
|
328両 |
32% |
三菱自工
|
0両 |
MBM
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328両 |
次にシャーシメーカーとコーチビルダーの関係です.
日野自動車は日野車体工業系列で,三菱ふそうは三菱ふそう系列で,それぞれ直系のコーチビルダーで全車両架装していました.
いすゞ自動車は直系のいすゞ系列で架装する純正車体と,富士重工業で架装する改造形式扱いの車体が存在していました.
日産ディーゼル(UD)は富士重工業で架装していました.
その後,富士重工業のバス車体製造からの撤退に伴い,いすゞ自動車は全ていすゞ系列で,日産ディーゼル(UD)は西日本車体工業で架装が行われていました.
令和3年度までの新車は,そのほとんどが「いすゞ自動車」=「ジェイバス」で導入されており,市バスの78%がジェイバス車体となりました.
日野車体工業製の車体と富士重工業製の車体は平成30年度に,いすゞバス製造製の車体は令和元年度に全車廃車となりました.
日産ディーゼル(UD)車台及び西日本車体工業の車体は令和5年度に全車廃車となりました.
日野系列=日野車体工業、ジェイ・バス
三菱系列=三菱自工(名古屋)、三菱ふそうバス製造(MBM)
いすゞ系列=I.K.C、いすゞバス製造、ジェイ・バス
Bus Car Data 2(参考/2年前)

図3 メーカー別在籍車両割合
※R5年3月時点の図
(内円:シャーシメーカー 外円:コーチビルダー)
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令和6年度末の勢力図は次の通りです.
Bus Car Data 2(現在)

図4 メーカー別在籍車両割合
※R7年2月時点の想定図
(内円:シャーシメーカー 外円:コーチビルダー)
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在籍車両の動力別分類 |
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一時期,CNGや電気を動力源とする低公害車も多数在籍していましたが,平成29年12月の車両更新によってCNG車が全廃されました.
令和7年2月現在,名古屋市交通局が所有する1,014両は全てディーゼル車です.
(参考)
交通局所有ではありませんが,名古屋市(環境局)が所有する燃料電池バス2両が運用されています. (市バス基幹1号系統,観光ルートバスメーグル)
(参考)
令和7年度には電気バスが1両導入される予定です.
<まとめ>自動車保有台数一覧表(局番別) |
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局番(車両番号)で分類すると,以下のように整理されます.局番について詳細はコチラをご覧ください.
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x
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Kx
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NKx
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Nx
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Rx
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Mx
|
NMx
|
Sx
|
NSx
|
Tx
|
合計
|
H
|
0 |
0 |
21 |
123 |
0 |
0 |
21 |
0 |
0 |
2 |
167 |
S
|
0 |
0 |
19 |
328 |
0 |
0 |
161 |
0 |
0 |
11 |
519 |
F
|
0 |
0 |
29 |
299 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
328 |
N
|
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
合計
|
0 |
0 |
69 |
750 |
0 |
0 |
182 |
0 |
0 |
13 |
1,014 |
その他のデータ集 |
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平成29年3月の車両更新によって,ノンステップバス100%,エアサス車100%を達成しました.
また平成29年12月の車両更新によって,CNG車が全廃されました.
項目
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両数
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全体(1,014両)に占める割合
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ノンステップバス |
1,014両 |
100% |
ノンステ&ワンステ |
1,014両 |
100% |
低公害車(CNG,電気式,蓄電式) |
0両 |
0.0% |
オートマチック車 |
529両 |
52.2% |
AMT車 |
144両 |
14.2% |
エアサス車 |
1,014両 |
100% |
ISS※車両 |
1,014両 |
100% |
3扉車 |
0両 |
0.0% |
方向幕車 |
0両 |
0.0% |
※ISS=アイドリングストップ・スタートシステム

▲ノンステップバス 低公害車(CNGバス) |

▲ノンステップバス車内 |

▲ワンステップバス リーフサスペンション |
運行管理受託車両について |
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交通局が保有し管理運行を行う車両は上記で紹介してきた1,014両です.
これ以外に,名古屋ガイドウェイバスよりガイドウェイバス28両を,観光文化交流局よりなごや観光ルートバス5両の管理運行を,環境局等より燃料電池バス2両の管理運行を受託しています.
つまり,交通局が管理運行を行っている車両数は,合計で1,049両です.
その他に,営業に使用しない車両として,研修車が4両と,トラックなど業務用車両を十数台保有しています.

▲ゆとりーとライン専用車 |

▲なごや観光ルートバス「メーグル」専用車 |
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