名古屋市が策定した都市計画や総合交通政策,これらに基づく個別計画を体系的に簡単にまとめます.
これらは独自解釈に基づくもので,市の公式見解とは異なる可能性があります.
名古屋市の交通に関わる計画 |
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名古屋市には,都市交通を所管する部署が2つあり,1つは公営交通事業者として市バス・地下鉄を運営する交通局です.独自の経営計画を基に事業運営を行なっています.
もう1つが,行政として主にまちづくりの観点から市全体の交通計画を担う住宅都市局です.
「住宅都市局」所管の交通に関わる計画として,市域全体の将来あるべき姿を示す「都市計画」があり,その中心たる都心部に特化した「都心再開発」があります.そしてこれら地域を繋ぐ「総合交通政策」等があります.
交通局の経営計画については, ニュース>将来計画>中期-経営計画 をご覧ください.
このページでは,住宅都市局所管の交通に関わる計画について取り上げます.
計画体系として,「審議会等による答申」と,答申内容を市の施策として推進するための指針となる「基本計画」があり,それを計画的に進めていくための「実行計画」,そして「個別計画」等があります.
体系 |
1都市計画 |
2都心再開発 |
3総合交通政策 |
審議会 →答申 |
都市計画審議会 |
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交通問題調査会 →(旧)なごや新交通戦略
→(新)名古屋交通戦略2030 |
基本計画 (行政計画) |
都市計画マスタープラン |
名古屋市都心部将来構想 |
(旧)なごや新交通戦略推進プラン
(新)名古屋交通計画2030 |
実行計画 の一例 |
なごや集約連携型まちづくりプラン |
都心部まちづくりビジョン |
(旧)なごや交通まちづくりプラン
地域公共交通協議会
→(新)名古屋市地域公共交通計画 |
個別計画 の一例 |
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栄地区グランドビジョン 名古屋駅周辺まちづくり構想 金山駅周辺まちづくり構想 |
モビリティ・マネジメント 新たな路面公共交通システム |
1 都市計画 |
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都市の将来あるべき姿(人口,土地利用,交通施設含む主要施設等)を示すものです.
・まちづくりの基本方針
都市計画マスタープラン
・平成23年(2011年)12月策定の2代目 ・目標年次は平成32年(2020年)
【まちづくりの主な方針】 ・駅そばまちづくり (集約連携型の都市構造を目指す) ・戦略的まちづくり ・地域まちづくり(地域計画を反映) |
都市計画マスタープラン2030
・令和2年(2020年)6月策定の3代目 ・目標年次は令和12年(2030年)
【都市づくりの目標】 ・ゆとりと便利が織りなす多様で持続可能な生活空間 ・歴史と未来の融合で磨くオンリーワンの体験空間 ・技術力と経済力で輝くグローバルな創造空間
【めざす将来都市構造】 ・大都市における集約連携型都市構造 |
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1-2実行計画「なごや集約連携型まちづくりプラン」 |
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・当初計画は平成30年(2018年)3月策定→令和5年(2023年)3月に一部改定.
・目標年次は平成47年(2035年)頃.
【なごや集約連携型まちづくりプランとは】
都市計画マスタープランでめざす集約連携型都市構造の実現に向けて,「都市機能や居住を誘導する範囲(都市機能誘導区域,居住誘導区域)」や「誘導する施設」などを定め,「鉄道駅周辺(拠点や駅そば)に必要な拠点施設の立地誘導」や「地域の状況に応じた居住を誘導」するためのもの.
都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画に該当する.
【主な内容】
第3章 目標と基本方針
第4章 誘導区域と誘導する施設
「拠点市街地」「駅そば市街地」「郊外市街地」に区分.
第5章 誘導のための施策の方向性
「防災指針」「低未利用土地の有効活用」「土地利用計画の運用」
第6章 プランの評価
【令和5年3月一部改定】
平成30年3月のプラン策定後,新しい浸水想定区域等が公表されたこと(水防法改正),都市再生特別措置法が改正され低未利用土地の活用に関する新しい制度が創設されたこと,居住環境向上用途誘導地区制度が創設されたこと,安全確保策等を取りまとめた防災指針作成が義務化されたこと,市の上位計画である「都市計画マスタープラン2030」が策定されたことを踏まえ,プランの一部改定が行われました.
・都市機能誘導区域(鉄道駅から800m圏→600m圏に変更)
・新しいハザード情報をもとに見直し
・ウォーカブルなまちづくりの推進など関連取組を追加
2 都心再開発 |
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名古屋都心部(名古屋駅,栄,金山周辺)の再開発に関する計画について.
・都心部のまちづくりの指針. ・現計画は平成16年(2004年)3月策定. ・目標年次は平成36年(2024年)頃.
・各まちづくり計画(名駅,伏見,栄,金山,名城地区)を統括し,全体の方向性を提示.
・現計画は平成31年(2019年)3月策定. ・次期マスタープランに反映.
名古屋都心各エリア(名古屋駅,栄,金山周辺)の個別計画について.
計画名称 |
策定 |
広小路ルネサンス構想 |
頓挫 |
栄地区グランドビジョン |
平成25年6月 |
名古屋駅周辺まちづくり構想 |
平成26年9月 |
金山駅周辺まちづくり構想 |
平成29年3月 |
頓挫した計画【広小路ルネサンス構想】(平成15年〜平成19年頃)
・広小路通をトランジットモール化する構想を打ち出すが,市議会から強い反発を受ける.
・自動車交通との両立を目指し,完全なトランジットモール化ではなく,車線減&歩道拡幅へと方針変更するも,事業実施後の都心全体の交通体系やまちの全体像が不明確などの課題が浮き彫りとなり,社会実験すら実施させてもらえず.
各エリアの個別計画【栄地区グランドビジョン】平成25年6月策定
・栄地区を魅力あるまちへと再生し,持続的に発展させる基本方針.
・前期計画「久屋大通公園の再生(北エリア)」
→地下鉄駅と地上との連続性の強化
・中期計画「久屋大通公園の再生(南エリア)」
→栄噴水南バスターミナルの移転
・後期計画「回遊性の向上」
→交通サービスの充実(ちょい乗りバス,コミュニティサイクル),大須地区との連携.

▲名古屋市「栄地区グランドビジョン」より |

▲久屋大通公園の再生(北エリア) |
各エリアの個別計画【名古屋駅周辺まちづくり構想】平成26年9月策定
・→名古屋駅の改修(利用しやすい乗換空間の形成)
・→交通施設の適切な配置(自動車交通施設の配置)

▲名古屋市「名古屋駅周辺まちづくり構想」より |

▲名古屋市「名古屋駅駅前広場の再整備プラン」より |
各エリアの個別計画【金山駅周辺まちづくり構想】平成29年3月策定
・ターミナル機能の本格整備(金山バスターミナルの移転改修)
参考【名古屋 都心ビジョン2030】研究機関からの提案・提言
・平成23年(2011年)4月に名古屋都市センターの研究成果として公表.
・2030年をターゲットに都心の将来ビジョンを描き提案するもの.
3 総合交通政策(総合交通体系) |
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名古屋市域の総合交通体系に関する計画について.
・名古屋市交通問題調査会条例により設置. ・まちづくりと連携した総合交通体系の形成に関すること等について調査・審議を行う.
平成16年度答申【なごや交通戦略】
・平成15年3月,市長から「自動車利用の適正化を図り,公共交通への転換を促進する施策について」諮問.
・平成16年(2004年)6月「なごや交通戦略」として答申.
平成22年度答申【なごや新交通戦略】
・平成22年4月,市長から「新たな交流社会を支える交通施策の推進について」諮問.
・平成22年(2010年)12月「なごや新交通戦略」として答申.
・リーディングプロジェクト「みちまちづくり」.
・地域公共交通計画(LTP)
令和3年度答申【名古屋交通戦略2030】 ←最新答申
・令和元年7月,市長から「まちづくりと連携した新たな総合交通体系について」諮問.
・令和4年(2022年)2月「名古屋交通戦略2030〜最先端モビリティ都市の実現に向けて〜」答申.
・2030年の交通の姿「最先端モビリティ都市」を目指す.
・市の交通に関する基本計画.
平成23年【過去の計画/なごや新交通戦略推進プラン】
・平成22年度答申「なごや新交通戦略」を踏まえ,将来に向けた交通施策を推進していくための指針となるプラン.
・平成23年(2011年)9月策定.
・成果目標の設定 →毎年度進捗状況を公表
・リーディングプロジェクト「みちまちづくり」パッケージ推進プログラム
→全市域,都心部,拠点駅そば,生活圏
・公共交通サービスのあり方の提示 →「地域公共交通計画(LTP)」
平成28年【過去の計画/同上追補版】
・上記プランの目標年次の中間年を迎えたことから,平成28年度(2016年度)に「なごや新交通戦略推進プラン後期プログラム追補版」を策定.
令和4年【現在計画/名古屋交通計画2030】
・令和3年度答申「名古屋交通戦略2030」を踏まえ,持続可能な都市交通体系を形成するため,まちづくりと連携した新たな総合交通計画(行政計画)を策定.
・令和5年1月パブコメ.令和5年3月策定.
・目標年次は令和12年度(2030年度).
・既存ストックと先進技術を活用した「最先端モビリティ都市」を目指す.
・実現に向けて4つの展開を3つの交通ゾーン(都心,駅そば,郊外)に応じて実施.
[展開1] リニア中央新幹線の開業に向けた広域交通環境の形成
[展開2] 持続可能な公共交通ネットワークの形成
[展開3] まちづくりと連携した多様な道路空間の形成
[展開4] 地域のニーズに応じた移動環境の形成
令和6年3月【名古屋市地域公共交通計画】
・令和2年に地域公共交通活性化再生法が改正され,地方公共団体による作成が努力義務化された.
・令和3年度名古屋市交通問題調査会答申「名古屋交通戦略2030」及び令和4年度策定「名古屋交通計画2030」と整合を図りつつ,目指す名古屋の公共交通ネットワークの実現に向けた計画とする.
・策定目的「将来にわたって地域の特性やニーズに応じた持続可能な公共交通を確保していくため」
・令和6年3月に,名古屋市地域公共交通協議会にて地域公共交通計画を策定
基本方針1「連携集約型都市構造と連携した公共交通ネットワークの確保」
基本方針2「連携・協働による公共交通サービスの向上」
基本方針3「地域が主体的に参加する公共交通システムの構築」
具体的な実施施策については 名古屋市公式サイト 掲載の本編をご覧ください.
本当は当ウェブサイトにて詳細に紹介したいと思っていたところですが・・・交通事業者に配慮し過ぎたのか(交通局が相当抵抗したのか),名古屋市としての強い意志が感じられない,平凡な無難すぎるつまらない内容なので,その気が失せました.
会議体【名古屋市地域公共交通協議会】
・令和5年2月13日設立
・「地域公共交通の活性化法」「道路運送法」に基づき2法の機能を有する法定協議会
・公共交通利用者や交通事業者,学識経験者などで構成
協議会の概要・開催状況(議事録等)は 名古屋市公式サイト をご覧ください.
個別計画・個別施策については,当コンテンツの別ページ「▼個別施策」項に掲載しています.
【社会実験・イベント等(みちまちウィーク)】
・平成18年(2006年)11月「まちなかちょい乗りフェスティバル」(栄・大須地区)
・平成19年(2007年)11月「名駅ちょい乗りバス」
・平成23年(2011年)11月「ちょい乗りバス社会実験」(栄・大須地区)
・平成24年(2012年)「超小型モビリティ走行体験」等
モビリティ・マネジメント(MM) 【みんなでトクする日常の移動を考えるプロジェクト】
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【新たな路面公共交通システム(SRT)】
実行計画「なごや交通まちづくりプラン」に掲げる「移動手段の多様化」では,主要施策として歩行者の回遊性やまちの賑わいの向上,また都心部の連携を強化することを目的とした『都心部の魅力を向上させるLRT又はBRTの導入検討』を掲げている.
・平成29年(2017年)3月「新たな路面公共交通システムの導入に係る基本的な考え方」
・平成31年(2019年)1月「新たな路面公共交通システムの実現を目指して(SRT構想)」
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