港区の元港営業所跡地に開設された「港明営業所」を紹介します.
港明営業所 概要 |
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港明営業所は,港区役所や大型ショッピングセンターが立ち並ぶ一角にあります.
小規模かつ段階的な管理委託拡大と回送の削減による運行の効率化のため,新たなスキーム「港区役所回転場を活用した民間委託」制度によって,2019(平成31)年2月12日に開設されました.
港明営業所の用地は,元は交通局港営業所で,営業所機能廃止後は港区役所回転場として使用されてきました.
この土地に,管理受託者である三重交通が営業所施設を建て,市バス車両を配置し,三重交通が市バス運行管理業務を行っています.
委託規模は2019(平成31)年2月より14両体制でスタートし,2020(令和2)年4月に30両体制,2025(令和7)年3月に35両体制へと,順次拡大されています.
2026(令和8)年度までに,さらなる配置車両数(委託車両数)の拡大が予定されています.
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所在地 |
港区港明1丁目 |
最寄停留所 |
港区役所(旧港車庫前) |
運行管理 |
三重交通委託(H31年2月〜) |
車検業務 |
三重交通委託(H31年2月〜) |
所属車両数 |
35両(R7年4月現在) |
旧主力車種 |
いすゞ |
担当系統 |
8系統 幹築地1,名駅19,栄22,(金山25),高畑18,名港13,東海11,(東海12) |
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以前は,中川営業所(直営)及び鳴尾営業所(直営)が担当していた路線を引き継いでいます.
港明営業所の風景 |
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港明営業所の敷地は狭く,収容可能車両数は30両です. このため,港明営業所に配置される35両のうち,本所(港明営業所)に留置されるのは30両のみです.
港明営業所は,南入口→東出口の一方通行です.
敷地の北側に整備ピットも備える営業所建屋があります. 営業所2階は職員用駐車場です.

▲広域図 東海通駅と港区役所駅の中間に位置する |

▲営業所拡大図(最大30両格納) |

▲港区役所停留所付近拡大図(ららぽーと交通広場/営業所) |
すぐ近くに平成30年9月26日に開設された「ららぽーと交通広場」は,別ページにて紹介しています.
終点の風景>港区
南入口正面の車路周辺や車路下スペースは,港明営業所所属車両が留置されています.
建屋の西寄りには1両分の整備ピットが設けられています.

▲南入口より入庫する |

▲南入口より営業所を望む |

▲南入口の正面は港明営業所車両の留置場所 |

▲右側事務所前は他営業所車両の留置場所 |

▲整備ピットと事務所入口 |
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営業所は2階建で,1階が営業所施設で,2階が職員用駐車場になっています.
建屋前のスペースは,4両分の他営業所用車両の留置スペースとなっており,引き続き回転場としての機能もあります.

▲東出口より |

▲新築された営業所建屋 |

▲東出口より出庫する車両 |

▲事務所前は,昼間は他営業所車両の留置場所 |
給油・洗車・一部車両留置 |
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手狭な港明営業所には,給油施設や洗車スペースがありません.
これらの作業は,直線距離で約2km離れた,三重交通グループの「名阪近鉄バス」名古屋営業所にて行なっています.
このため,港明営業所の行路には港明営業所〜名阪近鉄バス営業所間の回送ダイヤが組み込まれています.

▲港明営業所から回送されてきた車両 |

▲観光車に混じって給油する市バス車両 |
(参考)営業所開設&委託規模拡大の経緯・年表 |
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交通局では,平成19年度より市バスの管理委託を進めており,順次,既存の直営3営業所(大森営業所(H19〜),浄心営業所(H21〜),野並営業所(H24〜))の運営を直営から民間委託に切り替えました.
また既設の民間車庫に市バスを配置する手法で1分所(楠分所)を開設し委託を行っています(H26〜).
これらに引き続き,さらなる委託規模の拡大のため,新たな委託手法として,平成30年度から「港区役所回転場を活用した民間委託」が行われています.
港区役所回転場は,元「港営業所」跡地です. 昭和44年から平成16年まで約100両規模の車両が配置され,港区の地下鉄駅から郊外へ向かう路線や,港区から都心へ向かう路線を担当していました.
平成16年の営業所閉鎖後は,敷地の一部を再整備し,大規模回転場として機能していました.
(残りの土地は売却し,高速道路用地や分譲マンション等に変わりました.)
当初計画では,平成28年4月より受託事業者の募集を開始し,7月上旬に決定.その後,受託事業者が営業所施設を建設し,平成29年4月1日に約30両程度の車両を再配置すると同時に,民間委託を開始する予定となっていました.
しかしながら,全国的に深刻なバス運転士不足が続く中,1年後の受託開始に間に合う応募事業者が無く,不調に終わりました.
そこで,平成28年10月に募集要項を「事業者が受託開始日と受託規模,段階的な規模拡大を提示できる」と条件緩和し再募集が行われました.
その結果,平成29年1月に受託事業者が「三重交通」に,開始時期が平成30年10月1日に,そして2段階に分けた委託拡大(14両規模→30両規模)することに決定しました.
このようにして「浄心営業所港分所(仮称)」プロジェクトは動き始めましたが,営業所建設工事の着工開始が遅れたため当初想定の10月には間に合わず,3ヶ月半遅れの平成31年2月12日に「港明営業所」として14両&3系統体制で営業を開始しました.
令和2年4月には,計画通り30両&6系統体制に拡大されました.
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年月 |
できごと |
1969年(S44年)2月10日 |
「中川自動車運輸事務所港分所」開設 |
1970年(S45年)6月1日 |
「港自動車運輸事務所」に改組 |
1982年(S57年)12月1日 |
「港営業所」に名称変更 |
2004年(H16年)10月6日 |
「港営業所」廃止 用地の一部を「港区役所」回転場に転用 |
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名古屋高速道路建設工事 |
2016年(H28年)年度 |
受託事業者を募集 → 三重交通に決定 |
委託開始まで |
三重交通が港区役所回転場内に営業所施設を建設 |
2018年(H30年)9月29日 |
当初開設予定の10月1日開設に間に合わず 暫定措置として3両を楠分所に配置 |
2019年(H31年)2月12日 |
「港明営業所」開設し14両を配置
3系統(名駅19,栄22,名港13)を所管 |
2020年(R2年)4月1日 |
委託車両数の拡大(14両→30両)
新たに3系統(高畑18,東海11,幹築地1)を所管(合計6系統) |
2025年(R7年)3月29日 |
○
委託車両数の拡大(30両→35両)
新たに副担当として2系統(金山25,東海12)を所管(合計8系統) |
2026(R8)年度? |
委託車両数の拡大(35両→?両)予定
(系統も直営営業所から移管予定) |
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過去の画像(〜平成16年度以前)旧港営業所の様子 |
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平成16年(2004年)10月以前に存在した「港営業所」時代の様子は,次のページをご覧下さい.
営業所(車庫)>廃止された営業所

▲旧港営業所全景(北側より望む) |
過去の画像(平成16年度〜29年度)旧港区役所回転場の様子 |
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平成16年(2004年)10月の「港営業所」の閉鎖後も,敷地の一部は「港区役所回転場」として利用され,車両の待機と乗務員休憩機能が残りました.
平成30年(2018年)の工事着手までは,20両以上の留置スペースを持つ,市内最大級の回転場でした.
平成16年(2004年)10月の営業所閉鎖後は,老朽化していた建物は解体されました.
その後,敷地の西側で名古屋高速道路の建設工事が始まりました.
その間も回転場機能を確保するため,広い元営業所敷地を利用して,工事エリアを避けて駐車スペースは移設を繰り返しました.
下の画像は平成22年(2010年)5月頃の様子です.

▲旧港区役所回転場全景(北側より望む) |

▲旧港区役所回転場(東側) |

▲都市高速道路建設中 |

▲営業所と同等面積ある巨大回転場 |

▲暫定利用中のため建物等撤去後が残る |
名古屋高速道路の工事が完成し,平成23年(2011年)頃より回転場が現在の位置に移設されました.
(高速道路の供用開始は平成25年11月.)
回転場の出入口は南と東の2箇所で,系統によって入退場ルートが異なっていました.
回転場として使用しなくなった北側の土地は民間に売却されました.
下の画像は注釈なき場合,平成25年(2013年)4月頃の様子です.

▲現在の位置に引っ越した旧港区役所回転場全景(北側より望む) |

▲回転場 南側出入口 降車停設置前の様子 |

▲回転場 東側出入口より進入する車両 現在は南側進入ルールなのでこの光景は見られない |

▲東側出入口より望む |

▲常に10両以上が並ぶ大型回転場だった |

▲平成23年頃の路上停の様子 |

▲平成25年頃の路上停の様子 道路付替に伴いバス停上家が取り残された |
平成26年(2014年)に,従来は路上にあった北行き降車停が回転場内に移設されました.
これに伴い,車両の入退場方法が,南入口→東出口に統一されました.
南行き降車停や乗車停は従前通り路上です.
また,民間に売却した回転場北側の土地に,ドラッグストアや分譲マンションが建設されました.
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▲回転場 南側出入口 路上にあった北行き降車停を回転場内に移設 |

▲回転場内に移設された降車停 |

▲降車停から望む回転場の様子(西側) |

▲降車停から望む回転場の様子(東側) |

▲高速道路も開通し,道路も整備された |
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かつては大通りを挟んで西側に,東邦ガスの「港明エコステーション」が設置されており,港区役所を発着するCNGバスはここでガス充填していました.
CNG車両の減少とエコステーション移転に伴い,平成28年度からは全て鳴尾営業所内でのガス充填に切り替えられました(現在はCNG車両は全廃されています).

▲港明エコステーション 平成27年までCNG充填で利用していた |
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過去の画像(平成30年度)車庫施設の建設・暫定委託拡大 |
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平成30年(2018年)の,車庫施設の建設作業期間中の様子を紹介します.
平成30年夏頃より,受託事業者(三重交通)によって車庫施設の建設が行われました.
以下,7月と9月現在の作業風景を紹介します.
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港区役所回転場の南入口と東出口はそのままに,回転場の北半分を囲い建屋の建設が進められています.
工事期間中のバス駐車スペースは,約20両から6両へと大きく減少しました.
これに伴いダイヤ修正が行われ,食事休憩などの長時間停車の場合は,名古屋港バスターミナルや六番町バスターミナルまで回送待機することで,港区役所回転場の利用頻度が抑えられています. |

▲南側入口より(7月現在) |
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▲車両留置スペース(7月現在) |

▲東側出口より(7月現在) |

▲車両留置スペース(9月現在) |

▲東側出口より(9月現在) |
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平成30年9月29日〜翌年2月11日 車庫開設遅れに伴う楠分所への暫定委託拡大 |
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当初計画では平成30年10月に新営業所を開設して14両を配置し,同時に三重交通へ管理委託する予定でした.
しかしながら,工事着手時期が遅れたことにより,10月時点でも建屋が完成せず,開設が延期されることになりました.
港明営業所開設までの暫定措置として,9月29日ダイヤ改正に合わせ,同じ三重交通が管理委託する「浄心営業所楠分所」に,中川営業所から2系統(名駅19号,栄22号系統)の一部ダイヤが移管されると共に3両が移籍しました.
2系統のダイヤ移管にあたっては,車庫から港区役所へ回送し,港区役所回転場をベースに名駅や栄へ往復する既存ダイヤには手を加えず,運行担当のみ中川営業所から楠分所に巻き替えたため,楠分所〜港区役所間約17kmの名古屋市を縦断する長距離回送が行われました.黒川出入口〜港明出入口間は名古屋高速道路経由でした.

▲暫定委託拡大中の「市バス系統図(楠分所)」 名駅19号,栄22号系統が追記された |

▲中川営業所から楠分所に一時移籍した車両 |

▲黒川入口から名高速に進入する回送車両 |

▲営業運行を終え名高速を回送してきた楠分所の車両 |

▲楠入口から名高速に進入する回送車両 (イレギュラーなパターン) |

▲港明出口 楠分所より高速回送 画像提供:TBCNMさま |
平成31年(2019年)2月12日 港明営業所 開設
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