まるはち交通センター
 トップページ地下鉄路線地下鉄新路線計画地下に眠る「地下鉄未成線」と幻の乗換駅(8号線計画と国際センター駅ほか)
地下鉄路線
 
コンテンツTOP
営業路線の紹介
 東山線
 名城線・名港線
 鶴舞線
 桜通線
 上飯田線
地下鉄駅の紹介
 東山線の駅
 名城線・名港線
 鶴舞線の駅
 桜通線の駅
 上飯田線の駅
市営地下鉄資料集
 地下鉄車両基地
 各種データ集
 増発・臨時輸送
 トピックス
 地下鉄新線計画
  ▼地下鉄新線計画
  [国]審議会答申
  [市]都市計画
  ▼新線計画の詳細
  市交6号線の延伸
  市交上飯田線
  市交東部線
  ▼幻の乗換駅
  7号線丸の内駅
  8号線国際セ駅
  南部線桜本町駅
  JRアクセス線
  
 地下鉄建設史

 
 地下に眠る「地下鉄未成線」と,将来的に乗り換え駅となるはずだった駅構造物を紹介します.

昭和47年都市交通審議会答申と地下鉄建設における準備工事

 昭和29年から平成23年まで建設が進められた名古屋の地下鉄網は,計4回(昭和25年,昭和36年,昭和47年,平成4年),国の審議会で路線計画が見直されました.

 特に影響力の大きかったのが「昭和47年都市交通審議会答申」です.
 当時の高度経済成長を背景に,広域かつ都心部における充実した路線網が提示されました.

  昭和47年都市交通審議会答申 ※別ウィンドで画像が開きます

 結果的に需要過大であったため,平成4年答申では路線網計画が大幅に縮小されましたが,
 昭和47年答申に基づく整備が進められた昭和40年代〜平成初期は,地下鉄建設の最盛期で,特に当時設計・建設中であった「
鶴舞線」と「桜通線」は,この夢物語とも言える昭和47年答申の影響を大きく受けることになりました.

 

 既設の鉄道路線に対し新しい鉄道路線が交差する形で建設される場合,地上の場合は空間があれば比較的容易に建設できるのに対し,地下の場合は既設トンネルが崩壊しないよう保護しながら下部を掘り進めるなど非常に困難な工事となるため,将来的に交差駅となる計画のある場所については,準備工事を行っておくことがあります.

 結果的に準備工事が功を奏したり,準備していなかった場所は難工事の末,新しい乗換駅が誕生することになる訳ですが・・・
 中には準備工事を行ったものの,後の計画変更により新線計画が消滅し「幻の乗換駅」となってしまった駅も存在します.

 当ページでは,昭和47年答申から平成4年答申の計画変更によって消滅した路線と,その幻の乗換駅を紹介します.

 

 

昭和47年答申 地下鉄8号線計画

 昭和47年答申における地下鉄8号線計画は,北区の楠地区から黒川地区〜清水口(旧7号線乗換)〜高岳(6号線乗換)〜瓦町〜矢場町(2号線乗換)〜大須観音(3号線乗換)〜水主町周辺〜国際センター(6号線乗換)〜浅間町(3号線乗換)を経由して市外の枇杷島に至る市内中心部をU字型に走る特徴ある路線です.
 計画には明記されていませんが,枇杷島での国鉄乗入れも想定されていました.

 その後,平成4年答申では,8号線計画計画は消え,東西方向は市交東部線として,南北方向のうち楠〜瓦町間は市交金山線に変更されました.南北方向のうち水主町周辺〜枇杷島間は計画消滅しました.
 現時点で部分開業した区間はありません.


▲(昭和47年答申)第8号線計画図

▲(平成4年答申基準)現在の計画図

 

 

 幻の乗換駅「浅間町駅」

 浅間町駅付近に地下鉄構想が浮上したのは,昭和36年答申です.
 当時の3号線(鶴舞線)計画は,国道22号線下に線路を通すため,
駅は現在よりも北側に建設される予定でした.

 それが昭和47年答申では,浅間町駅において,3号線(鶴舞線)8号線が連絡することになったため,駅が現在の交差点下に変更となり,3号線(鶴舞線)も民地下を通る南寄りルートに変更となりました.

 なお,浅間町駅は,他の乗換駅と違って2路線が交差するのではなく,近接・平行した形となるためか,浅間町駅構造物に乗換駅となる準備工事の痕跡は発見出来ませんでした.

 

 3号線(鶴舞線)本線トンネルは,トンネル構造に工夫があり,将来的に8号線との連絡線建設も想定していたかのように見受けられます.

 浅間町駅の南側(丸の内方)は,民地下を走るためシールドトンネルとなっています.
 下り線は浅間町駅構造物(箱型トンネル)を出るとすぐにシールドトンネルに入りますが,上り線は浅間町駅構造物(箱型トンネル)とシールドトンネルの間に,将来的に連絡線分岐部に改修しやすくするためか,箱型単線トンネル区間が挿入されています.


▲浅間町駅ホームの南端(丸の内方)


▲上り線 箱型単線トンネル区間を望む
 8号連絡線に改修可能な構造(想定)

 

 

 幻の乗換駅「国際センター駅」

 国際センター駅は,昭和47年答申において,6号線(桜通線)8号線の交差駅として計画されました.

 平成元年開業の6号線(桜通線)は,JR名古屋駅や地下街(ユニモール)よりも地下深く建設する必要がありました.
 このため国際センター駅の
地下3階を6号線(桜通線)ホーム(深さ約20m)とし,地下2階に8号線との交差空間を予め確保しておく事になりました.


▲桜通線駅と8号線の位置関係(平面)
(駅掲示の案内図に加筆)

▲桜通線駅と8号線の位置関係(断面)

 

 6号線(桜通線)8号線は,直角交差ではなく,地上の道路線形に合わせて「やや斜め」に交差する計画のため,交差予定部の柱のみ「やや斜め」に配置されています.

 また,地下2階の階段踊り場や,地下1階のクランクした3番出入口通路など,6号線(桜通線)駅構内から8号線駅構内へ接続しようとしたような空間が見受けられます.


▲8号線の交差位置(駅構内図に加筆)

▲画像(B1) 8号線トンネルの交差角度に合わせて,改札口付近の柱が斜めに配置されている
 

▲画像(B3) ホーム階の柱も斜めに配置


▲B2階(階段踊り場)8号線駅に接続できるよう,広い空間が確保してある

 

 

 幻の乗換駅「大須観音駅」

 大須観音駅は,昭和47年答申において,浅間町駅と同じく3号線(鶴舞線)8号線の交差駅として計画されました.

 3号線(鶴舞線)大須観音駅は,8号線の交差ポイント(若宮大通)よりも南側に建設されています.
 駅の位置関係や駅構造が,同時期に建設された御器所駅に酷似していることから,御器所駅のようにホームを北側に延伸して改札内通路を建設する想定であったと思われます.

 なお,8号線計画は消えましたが,若宮大通を東西に走る新線計画は「市交東部線」計画に継承されており,大須観音駅が乗換駅となる可能性は残されています.


▲鶴舞線大須観音駅(伏見方を望む)

▲ホーム延伸=乗換通路?
 (駅構内図に加筆)


▲(参考画像)鶴舞線御器所駅
 ホームの先から桜通線乗換通路が続く


▲御器所駅の先行事例
 ホーム端部の業務用スペースを撤去しホームを延長.駅端部の壁面を撤去して桜通線構造物と接続した
 (駅構内図に加筆)

 

 

 幻の乗換駅「高岳駅」

 高岳駅は,昭和47年答申において,6号線(桜通線)8号線の交差駅として計画されました.

 6号線(桜通線)高岳駅(=平成元年開業)は国道41号線の東側に設置されました.
 
8号線高岳駅は国道41号線に沿って南北方向に設置されると想定されます.


▲桜通線駅と8号線の位置関係
 

 

 西側に建設される8号線高岳駅との改札内連絡通路が建設できるよう,地下2階桜通線ホームの西端部にエスカレーター付き階段が新設可能な空間が確保してあります.
 (現在はその一部を使って非常用階段が設置されています.)

 また地下1階駅長室横には改札内通路が,トイレの奥には,改札外通路も同時に設置可能と思われる空間が見受けられます.

 なお,8号線計画は消えましたが,国道41号線を南北に走る新線計画は「市交金山線」計画に継承されており,高岳駅が乗換駅となる可能性は残されています.


▲画像は名古屋市入札図書より(高岳駅平面図)

 


▲改札内通路(1)(3)と改札外通路(2)の位置
 (駅構内図に加筆)
 


▲(2)トイレの奥に非常用通路が続いている.
 改札外乗換通路に転用できるよう通路幅は広い.


▲(1)駅長室の裏側に未使用空間あり.
 改札内通路を想定していたものと思われる.


▲(3)桜通線ホーム端部
 改札内通路用の空間が確保されている.現在はその一部を使って非常用通路が整備されている.
 壁の向こうにはエスカレーター用のピット(穴)も空いている模様.


▲(参考)ホーム端部に乗換通路が接続されている丸の内駅の事例.高岳駅もこのような乗換通路を想定していたと思われる.

 

 

 幻の乗換駅「柳橋駅」「矢場町駅」

 調査中です.

 

 

 

▼もどる 

 (C) まるはち交通センター製作委員会名古屋市営地下鉄ファンサイト