地下鉄構内トイレのリニューアルやホーム冷房化事業について紹介します.
地下鉄駅全体リニューアル事業は 別ページです.
地下鉄構内トイレのリニューアル・ホーム冷房化について |
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これまでも,駅改修にあわせた部分的なトイレ改修や,バリアフリー対応として多機能トイレの新設が行われてきました.
平成14年度から平成29年度にかけては,各トイレのブース1箇所に限って便器の洋式化も行われてきました.
平成29年度からは,全面的なリニューアルが進められています.
トイレのリニューアルに関するプランとしては,次のものがあります.
▼名古屋市営交通事業経営計画2023要旨
訪日外国人,高齢者をはじめ,誰もが快適に利用できるよう,全ての便器の洋式化を行う.
全ての駅への温水洗浄便座の設置,多客駅及び観光施設最寄り駅のトイレ内装改修などを順次実施する.
▼令和3年3月市議会答弁
今後10年をめどに,全ての残りの駅70駅の洋式化を完了させる.
多客駅(名古屋駅などの主要駅や,ナゴヤドーム前矢田駅などのイベント駅)や交差駅については,新駅建設時や大規模改修の際にホーム冷房が整備されてきました.
一部の駅はホーム冷房に加え,コンコースや改札口周辺も冷房化されている駅もありました.
名城線延伸以降の新駅では,ホーム冷房ではなくコンコース冷房が整備されてきました.
しかしながら,他都市の地下鉄が100%近い冷房化率なのに対し,名古屋市は27.8%(令和2年度時点)と圧倒的に低水準であることや,近年の猛暑を鑑み,その他駅についても順次,冷房化する計画が立てられています.
駅の冷房化に関するプランとしては,次のものがあります.
▼名古屋市営交通事業経営計画2023要旨
順次駅ホームの冷房化を進める.
▼令和3年3月市議会答弁
乗車人員1万人以上の駅を中心に,今後10年で20駅の冷房化を行う.
駅構内トイレのリニューアル整備状況 |
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工事着手年ではなく完成年を記載しています.
(令和5年6月時点)
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設計 |
工事(内装改修含) |
工事(洋式化のみ) |
平成29年 |
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千種(先行整備) |
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平成30年 |
栄,金山,市役所,伝馬町 |
栄,神宮西 |
覚王山 |
令和元年 |
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伏見(ヨリマチFUSHIMI) 名古屋(南),伝馬町,金山,上前津(東),市役所 |
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令和2年 |
黒川,大曽根,大須観音,久屋大通,伏見 |
東山公園,上前津(西) |
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令和3年 |
桜山,名古屋港 |
大曽根,大須観音,久屋大通(西) |
本山,高岳,六番町,岩塚 |
令和4年 |
丸の内,ナ矢田,今池,鶴舞,他4駅 |
藤が丘,伏見(東山線),黒川,桜山 |
砂田橋,浄心,中村区役所,国際センター |
令和5年 |
名古屋,新瑞橋 |
ナ矢田(東),名古屋港,車道,今池(北),鶴舞,丸の内(内) |
高畑,一社,名古屋大学 |
駅構内トイレの整備は,駅によって整備方法が異なります.
全駅を対象としているのが,便器の洋式化,温水洗浄便座の設置です.
これに加えて,多客駅及び観光施設最寄り駅については,トイレ内装改修なども追加実施されます.
参考事例として,平成29年度に先行実施された,千種駅のトイレを紹介します.

▲移転&全面改装された駅構内トイレ |

▲男子トイレ内部の様子その1 |

▲男子トイレ内部の様子その2 |

▲男子トイレ内部の様子その3 |
平成30年度より本格的に整備された各駅の改修トイレを紹介します.

▲名古屋駅(東山線南改札)(R1) |

▲栄駅(名城線南改札)(H30) |

▲金山駅(R1) |

▲市役所駅(R1) |

▲神宮西駅(一般トイレ)(H30) |

▲神宮西駅(多機能トイレ) |

▲神宮西駅(トイレ内部)(H30) |

▲伏見駅(ヨリマチFUSHIMI)(R1) 駅ナカ再開発の一環 |

▲伝馬町駅(R1) |

▲伝馬町駅(トイレ内部)(R1) |

▲東山公園駅(R2) |

▲上前津駅(西)(R2) |

▲大曽根駅(R3) |

▲久屋大通駅(西)(R3) |
地下鉄駅ホームの冷房化整備状況 |
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平成30年度(2018年度)時点における,地下鉄駅ホーム冷房が整備されている駅は26駅(※)です.
(※)交差駅は,路線ごとに1駅とカウントする
路線名 |
ホーム冷房駅(H30年度時点) |
東山線 |
名古屋,伏見,栄,今池,池下,本山 |
名城・名港線 |
金山,上前津,矢場町,栄,久屋大通,平安通,大曽根,ナゴヤドーム前矢田,本山,八事,新瑞橋 |
鶴舞線 |
伏見,上前津,八事 |
桜通線 |
名古屋,国際センター,久屋大通,今池,新瑞橋 |
上飯田線 |
平安通 |
令和元年度より,駅ホームの冷房化整備が進められています.
次の表は,令和5年3月時点の整備一覧状況です.
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設計 |
工事(完了は色付き) |
令和元年 |
千種,桜山 |
桜山 |
令和2年 |
丸の内,原 |
桜山,千種 |
令和3年 |
名城公園,御器所 |
千種 |
令和4年 |
上社,本郷,藤が丘 |
千種,上社,本郷,藤が丘,名城公園,丸の内(鶴舞線,桜通線),原 |
令和5年 |
瑞穂運動場東,御器所(桜通線),瑞穂運動場西 |
上社,本郷,藤が丘,名城公園,丸の内(鶴舞線,桜通線),御器所(鶴舞線,桜通線) |
この他,次の駅の整備が予定されています.
【1日当たり乗車人員が1万人以上の駅】
高畑,中村公園,新栄町,星ヶ丘,一社,名古屋城,黒川,名古屋大学,鶴舞,塩釜口,赤池,徳重
【アジア競技大会関係】
瑞穂運動場東,瑞穂運動場西
地下鉄駅の冷房化は,駅によって整備方法が大きく異なります.
(1)ホーム全体冷房
(2)ホーム部分冷房
(3)冷房付き待合室設置(地下駅)
(4)冷房付き待合室設置(地上駅)
冷房化の理想としては,ホームの端から端まで冷房装置を設置してホーム全体を冷やすことですが,巨大な駅空間全体を冷やすのは相当なエネルギーと大量の機械設備が必要となります.
新設駅であれば,予め機械設備を置くスペースを用意しておくことができますが,限られた地下空間しかない既設駅への大量の機械設備の新設は,物理的に不可能な事も多いようです.
令和元年度に始まったホーム冷房化工事では,特別な事情がなければ,ホーム全体冷房ではない方法で冷房化が行われています.
特別な事情の例
令和4年度〜6年度にかけて工事中の名城線名城公園駅(島式ホーム)の全面リニューアルでは,令和7年の愛知国際アリーナ新設に伴う利用者の大幅増加を見越して,コンコース含めた駅全体の冷房化が行われます.
コンコース通路は6基,ホームは7基の空調機新設が予定されています.
ホーム冷房化の主な方法として,ホーム全体を冷やすのではなく,ホームの一部分のみ,特に利用者の多いエリアのみ冷房化する工事が行われています.
令和2年度〜4年度にかけて東山線千種駅(相対式ホーム)の全面リニューアルが行われ,合わせてホームの部分冷房化も行われました.
階段付近に,1ホームあたり2基(計4基)のみ空調機が新設されています.

▲リニューアルされた千種駅ホーム |

▲階段付近に空調機を新設 |
同じく令和4年度に完成した鶴舞線原駅(相対式ホーム)も,階段付近を中心に1ホームあたり4基(計8基)の空調機が新設されています.

▲原駅 階段付近に新設された空調機 |
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令和5年度に完成した鶴舞線丸の内駅(島式ホーム)では,ホーム中央に出入口階段が,ホーム南端に乗換階段があり,この区間に利用者が多いことから,ホームの南半分(中央階段〜南階段)が冷房化されました.
10基の空調機が新設されています.
(同じく,令和5年度に完成予定の桜通線丸の内駅(島式ホーム)においても,ホーム中央に出入口階段が,ホーム西端に乗換通路があり,この区間に利用者が多いことから,ホームの西半分(西通路〜中央階段)が冷房化される予定です.
10基の空調機が新設されます.)

▲鶴舞線丸の内駅 ホーム南半分を冷房化 |
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令和元年度に始まったホーム冷房化工事の第1号として,令和2年度に桜通線桜山駅の島式ホーム上に,パーテーションで区切った冷房室(クールエリア)が設置されました.

▲桜山駅ホームに新設された冷房待合室 |

▲冷房待合室裏側の大型機器 |
令和4年度〜5年度にかけて,高架ホームを持つ東山線3駅(上社駅,本郷駅,藤が丘駅)の冷房化設計&工事が行われました.
各駅1ヶ所ずつ,待ち客の多い上り線(高畑方面)ホームの一部に,冷房付き待合室が設置されました.

▲藤が丘駅ホームの冷房待合室 |

▲本郷駅ホームの冷房待合室 |

▲上社駅ホームの冷房待合室 |

▲冷房付き待合室 内部の様子 |
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